研究概要 |
1)液体コア型光導波路(LCW)検出器を組み込んだμTAS用マイクロチップの開発 テフロンAF製マイクロチップの作製は一応の完成を見たので,さらにチップの改良を行うために,テフロンAF以外の低屈折率フッ素樹脂の検討を行った。これらの樹脂は,テフロンAFよりもガラスや金属表面の修飾などが容易であると考えられるため,ガラスなどの様々な素材と組み合わせたチップの作製が可能と思われる。今回は,ステンレスキャピラリーチューブおよびガラスキャピラリーチューブの内壁の修飾を検討した。これらの素材やこれまで検討したテフロンAFなどを利用することにより,今後,さらに高性能の分析チップの作製が可能と考えられる。 2)細胞培養用マイクロチップの設計と評価 前年度試作した細胞培養用マイクロチップを,実際の細胞培養に応用した。マイクロチップは二枚のガラス基板間に(下方の基板には流路が形成されており,上方の基板には試料導入用の穴が空いている)AFシートを挟みこんだ形式のものである。試料にはヒト肝細胞のHep G2を用いて,マイクロチップの下の基板を用いた開放系での培養,さらにマイクロチップ内を組み立てその内部での培養を試みた。その結果,開放系では,チップ内壁に細胞が接着し細胞の増殖が見られたが,チップ内部では数時間で増殖がみられなくなった。すなわち,テフロンAFの高いガス交換性を細胞培養で評価するには至らなかった。今後さらにチップを改良し細胞培養に応用していく予定である。また,分光測定と同時に電気化学測定を行うために,電極型スラブ光導波路測定装置の開発、応用を行った。
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