研究課題/領域番号 |
17350037
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石黒 慎一 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80111673)
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研究分担者 |
梅林 泰宏 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (90311836)
神崎 亮 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50363320)
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キーワード | イオン液体 / EMI^+ / TFSI^- / 分子コンフォメーション / ラマンスペクトル / 溶媒の酸塩基 |
研究概要 |
エチルメチルイミダゾリウム(EMI^+)イオンとビストリフロロスルホニル(TFSI^-)イオンからなる電解質は常温で液体であり、水や有機溶媒のような分子液体に対してイオン液体と呼ばれ、EMI^+TFSI^-は代表的なイオン液体である。この他にも、多様な有機カチオンとフッ素系アニオンからなるイオン液体が存在する。本研究では、イオン液体中でEMI^+,TFSI^-イオンがそれぞれ分子コンフォメーションの異なる2つの構造異性体からなっていることをラマンスペクトルから明らかにし、その異性化エンタルピーを決定した。この値は、理論計算から予測した値に近い。ブチルメチルピロリジニウム(P_<14>^+)イオンも同様に、2つの構造異性体からなることを明らかにし、異性化エンタルピーを決定した。このような構造異性化平衡の存在が、分子の運動の自由度、すなわちエントロピーの増大をもたらし、電解質でありながら常温で液体状態を作り出しているものと考えられる。これらの疎水的イオン液体の他に、アルキルアンモニウムやヒドロキシアルキルアンモニウムイオンと強酸物質から、親水性のイオン液体が合成された。この中で、エチルアンモニウム(EtNH_2)と硝酸から合成されたイオン液体EtNH_3^+NO_3^-は水と全組成で混合する。この混合液体の構造と溶媒としての酸塩基性を調べた。混合溶媒を用いて、酸(H^+FSI^-)溶液と塩基(EtNH_2)溶液を作製し、酸塩基反応により、混合溶媒の自己解離定数を決定し、その溶媒組成依存性を調べた。分子液体とイオン液体の酸塩基性には、著しい相違があることが見出され、構造との関連を現在、調査中である。
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