研究概要 |
DNAチップに代表される様に,多種類の化学種に対する高速分析の必要性が高まっており,このような分析法ではセンサの高密度実装が要求される。本研究で開発目的とする分子デバイスセンサは,このような高密度化センサの究極の形である。ここで開発する方法は,自己組織化作製される金粒子間のナノギャップにレセプタ分子を結合させるもので,分子デバイスが極めて簡単に実現できる特徴を有する。以下にこの研究で行った研究とその結果について要約する。 1.分子デバイス基本特性の理解この研究ではナノ粒子センサの基本特性を理解するため,DNA断片を用いて検討した。ブリッジ分子としてジチオールを用いて粒子間にナノギャップを作製し検討を行った。このナノ粒子アレイに一端をチオール化した12塩基1本鎖DNAを滴下しプローブとして使用した。この上にターゲットとなる12塩基DNAを滴下するとアレイの抵抗が低下し,その大きさは全塩基がマッチしたDNAで一番大きく,1塩基ミスマッチしたDNAとの間で大きな差があった。 2.複合粒子膜系での増感効果上記検討では50〜80nmのサイズを有する金ナノ粒子をアレイとして利用してきた。このときプローブとしてDNAそのものではなく,小粒子(12nm)上に固定したDNAプローブを用いると飛躍的に感度が向上することが判明した。この複合粒子アレイを用いて500fmol以下のDNAの測定が可能になり,塩基ミスマッチに対する選択性も上記手法と同等であることが確認された。 3.マルチアレイの作製と並列測定DNAのような多数の分子を並列解析するにはチップ上に多くの電極が必要となる。このマルチアレイ化のために4つの電極を配置したチップを作製した。この電極を用いて4つの異なるターゲットの同時測定をおこなった。
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