研究概要 |
1.糖の1位ヒドロキシ基の直接活性化手法の開発 水溶性カルボジイミドを用いる糖オキサゾリンの直接活性化に成功した。また、光延試薬を用いるp-ニトロフェニルグリコシドの一段階合成法を見出した。 2.糖オルトエステル誘導体の簡易合成と加水分解酵素のスクリーニング フッ化カリウムを用いる糖オルトエステルの実用的な合成法を開発した。また、加水分解酵素を用いるグリコシル化反応の供与体としての利用を目的とし、糖オルトエステル誘導体を加水分解する酵素を探索した。 3.糖環状炭酸エステル誘導体の合成と化学的性質 糖加水分解酵素を用いるグリコシル化反応の供与体としての利用を目的として、グルコース炭酸エステルを加水分解する酵素を探索した。Rhizopus由来の酵素製剤であるSumizyme MCに加水分解活性が認められた。精製の結果、グルコース炭酸エステルを加水分解する活性は、低分子量のペプチドに由来することが分かった。 4.酵素触媒高分子反応の開発 硫酸エステルの加水分解酵素であるスルファターゼを触媒として用い、単糖ならびにオリゴ糖の硫酸化を検討した。その結果、N-アセチルグルコサミンあるいはキトオリゴ糖の硫酸化が進行することが分かった。また、リン酸化N-アセチルラクトサミンオリゴ糖の合成と,フィターゼ触媒リン酸化反応を行った。 5.酵素触媒高分子反応の効率化 不溶性多糖表面での酵素反応を実現するために、セルロース結合ドメイン、マルトース結合タンパク質、キチン結合ドメインという吸着特異性の異なる3種類の糖鎖結合部位を、それぞれ有しているBacillus circulans WL-12由来キチナーゼ(Chi)を調製した。
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