金属ナノ粒子とn型半導体を組み合わせた系において見られる電荷分離の機構解明と、各種デバイスへの応用を試みている。今年度は、球状金ナノ粒子よりも長波長域にプラズモン共鳴波長をもつ異方性金ナノ粒子を酸化チタンに担持した電極の光電気化学特性を検討した。異方性金ナノ粒子としてロット状の粒子の合成をおこなったが、合成条件により金平糖状の金ナノ粒子が単分散で得られることを見出した。プラズモン共鳴波長は粒径の増大によりレッドシフトするが、粒径の変化に対するシフトの大きさが球状のナノ粒子に比べて大きいことを実験及び計算により明らかにした。この金ナノ粒子を酸化チタンに担持した電極は波長840nmまでの光に応答して光電変換に利用可能であることを明らかにした。金属ナノ粒子とn型半導体を組み合わせた系の可視光応答光触媒としての特性評価では、反応生成物や反応効率についてガスクロマトグラフなどにより検討を進めている。これに酸化タングステンを組み合わせることにより還元エネルギーを貯蔵した可視光応答光触媒に応用できることを示した。また、プラズモン共鳴に基づく光電気化学アクチュエータの検討では、優れた力学物性や迅速な刺激応答性を示すナノコンポジット型ヒドロゲルにポリアクリル酸と銀ナノ粒子担持酸化チタン粒子を組み合わせ、紫外光及び可視光照射により膨潤収縮する高強度光電気化学アクチュエータの作製に成功した。また、ゲルの薄膜化により膨潤収縮速度が向上することや、照射した可視光の色に変化する多色フォトクロミック特性を併せ持つアクチュエータに応用できることを示した。
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