研究課題/領域番号 |
17350067
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 健二 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (40225503)
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研究分担者 |
山中 正道 静岡大学, 理学部, 助手 (10377715)
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キーワード | 分子自己集合 / カプセル / 非対称ナノ空間 / 超分子 / ホスト-ゲスト / 分子認識 / 包接 / 配向制御 |
研究概要 |
お椀型大環状ホスト分子として、新規に、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-キャビタンド1とテトラ(4-ピリジル)-キャビタンド2を合成し、それらが4点のPhOH…Py水素結合に基づいてヘテロダイマーカプセル1・2を形成することを見出した。ヘテロダイマーカプセル1・2の形成、ならびに、ゲスト包接について、以下の知見が得られた。 (1)ヘテロダイマーカプセル1・2の形成を、^1H NMRに加え、2D-NOESY測定とDOSY測定によって確認した。 (2)ヘテロダイマーカプセル1・2は、種々のpara-二置換ベンゼン誘導体を包接し、化学シフト変化の結果から、パラ置換基がカプセルのキャビティー奥深くに入り込んでいることを見出した。 (3)ヘテロダイマーカプセル1・2へのゲスト包接を、^1H NMRに加え、2D-NOESY測定とDOSY測定によって確認した。 (4)para-ヨードエトキシベンゼンなどヨード基を有するゲスト分子に関しては、特異的にヨード基をピリジルホスト2側に配向して1・2に包接されることがわかった。この配向特異性は、ヨード基と2との間で、優先的にCH-ハロゲン相互作用することに起因することがわかった。 (5)酸素官能基を有するゲスト分子に関しては、para-アセトキシ安息香酸メチルエステル、para-エトキシ安息香酸メチルエステル、para-プロパノイル安息香酸メチルエステルなどにおいて、メチルエステル基を高選択的にピリジルホスト2側に配向して1・2に包接されることがわかった。この配向選択性は、1とゲスト官能基とのCH-パイ相互作用に加え、1とゲスト官能基の孤立電子対との静電ポテンシャル反発に起因することがわかった。 このようにして、水素結合に基づく非対称カプセル1・2は、非対称ゲスト分子包接の配向を制御できることがわかった。
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