研究概要 |
昨年度において,ドロマイトは,加熱処理温度の増加に伴い1炭酸塩ドロマイトから酸化カルシウム及び酸化マグネシウムとなり,酸化物に転換した時,極めて強い抗菌活性を示すことを明らかにした。本年度では,口腔内細菌の除去を目的として,ドロマイトの熱分解による酸化マグネシウムナノ微粒子含有炭酸カルシウムの複合材料を作製し,さらにポリビニルアルコールを用いて炭素被覆し,抗菌活性を調べた。その結果,ドロマイトとポリビニルアルコールの混合物を800℃で加熱処理することにより,炭素被覆した酸化マグネシウムナノ微粒子含有炭酸カルシウムの合成に成功した。炭酸カルシウム中の酸化マグネシウムの粒子サイズは約1〜3nmであり,炭素被覆量は5重量%であった。得られた試料の抗菌活性を調べた結果,炭素無被覆より抗菌活性が劣るものの細菌の吸着が認められ,口腔内細菌の除去能力の改善が期待された。また,本試料は,炭酸カルシウムと酸化マグネシウムの体積の異なりにより,試料表面に無数のクラックが見いだされた。このクラックの発生により,細菌増殖環境下において,微粒化が認められた。
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