研究課題
我々は高分解能(1.5Å-2.5Å)で中性子構造解析を行い、全水素、全水和水決定に成功し,これらの水素・水和構造を含めたタンパク質構造を総合的に評価した結果、いくつかはタンパク質が複雑な構造を有することで、有機化合物に較べて多種多様な環境が実現し、それに応じた新規な化学結合構造をとっていることが判明した。そこで、新たに更に多くの基本的なタンパク質の中性子構造解析を行い、新しい構造生物化学を世界に先駆けて確立する。○タンパク質分子内に形成される水素結合水素結合は水素原子を介した化学結合のひとつであり、タンパク質の構造と機能を研究するのに重要な役割を演じている。中性子回折法では水素原子が他の炭素、窒素、酸素原子と同様の精度でその位置が決定されるので、X-Hを水平軸にとり水素原子を原点に置き、アクセプター原子位置の分布をプロットすることができる。ミオグロビン分子の主鎖間の水素結合(N-H----O=C)について詳細を検討した。その結果、角度NHO(・_1)と角度COH(・_2)は強い相関(・_2=3.6*・_1-468)があり、水素結合が直線からずれる程度はアクセプターのlone pairの位置によることが判明した。○タンパク質分子のメチル基の立体配座エタンの2つのメチル基はそれを繋ぐC-C結合の周りで自由回転するが、ねじれ配座(Staggered conformation)が最も安定な配座で、最も不安定な配座が重なり配座(Eclipsed conformation)である。我々がすでに決定したミオグロビン中には92個のメチル基が同定されているが、92個について立体配座をニューマン投影式で書き表し、二面角を求めたところ、10個が-30°〜+30°の重なり配座で存在することが判明した。
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