研究課題
酸化還元電位(Em)や熱安定性がお互いに異なる相同シトクロムc、緑膿菌Pseudomonas aeruginosaシトクロムc(PA)と好熱性水素細菌Hydrogenobacter thermophilusシトクロムc(HT)、を用いて、従来よりもはるかに系統的かつ高精度に行い、シトクロムcの機能調節に関わる分子機構を明らかにした。HTの熱変性温度は、PAのものに比べて約30℃も高いことが明らかとなっている。PAの熱安定性に関与すると考えられるアミノ酸残基をHTでの対応する残基に置換すると、PAより熱安定性の高い一連の人工変異体が得られる。PAのEmは、ヘム17-プロピオン酸基の電離を反映して、pH6付近でpHの低下に伴い約60mV上昇する。このヘムプロピオン酸基の近傍に存在するアミノ酸残基にF34Y、E43Yの変異を導入すると、PAよりpKaが2pH単位以上低下することが示された。また、変異体(F7A/V13M/V78I)のEmは、PAとほぼ同様のpKaを示したが、測定したpH領域でEmの値が全体的に約70mV低下することが明らかとなった。この結果は、タンパク質内部の疎水性コアの安定化により、酸化型シトクロムcでのFe-Met配位結合が安定化されることを反映していると考えることができる。また、これらのアミノ酸5残基を全て置換した5置換変異体(F7A/V13M/F34Y/E43Y/V78I)のEmのpH依存性には、ヘム17-プロピオン酸基のpKaに影響を及ぼす変異(F34Y、E43Y)と疎水性コアの安定性に影響を及ぼす変異(F7A、V13M、V78I)の両方の影響の足し合わせが反映されていた。この結果から、ヘム17-プロピオン酸基のpKaとFe-Met配位結合強度によるEm調節機構は、それぞれ独立して寄与することが明らかとなった。
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