研究課題/領域番号 |
17350086
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
伊東 忍 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30184659)
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研究分担者 |
舘 祥光 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50336757)
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キーワード | 銅タンパク質 / ヘモシアニン / チロシナーゼ / 酸素化反応 / 分子状酸素の活性化 / 酵素反応機構 / 単核銅酸素錯体 / 二核銅酸素錯体 |
研究概要 |
1.単核および二核銅-酸素錯体の酸化機能解明 平成17年度においては、まず単核の銅-酸素錯体の反応性について重点的に検討を加えた。各単核銅酸素錯体を調製するために用いる配位子としては、より嵩高い置換基を導入したアミン系の二座および三座配位子を設計・合成した。得られた配位子を用いて銅(I)錯体を調製し、分子状酸素との反応により目的とする単核銅-酸素錯体の創成について検討した。得られた酸素錯体については、構造や分光学的特性を明らかにすると共に、脂肪族および芳香族水酸化反応について詳細に検討した。これについては、申請者らがこれまでに開発してきた極低温紫外可視吸収分光法を駆使して、吸収特性や速度論的解析(反応次数、温度効果、速度論的同位体効果、基質の置換基効果など)を加えた。得られた結果を基にして、単核銅酸素錯体の反応性(求核性vs.求電子性)や基質の酸素化機構(ラジカル反応vs.イオン反応vs.電子移動反応)について考察を行った。 同様の考え方に基づいて二核銅-酸素錯体についても、配位子の設計と合成、新規に調製した酸素錯体の構造、分光学的特性、および外部基質との反応性について系統的かつ詳細に検討を加え、酸化反応機構を明らかにした。本研究では特に、エンドオン型のペルオキソ二核銅錯体の反応性について詳細に検討を加えた。 2.酵素反応機構の解明(酵素反応とモデル反応の直接比較) 上記[1]で明らかとなった各銅-酸素モデル錯体の反応性を直接比較し酵素反応における酸化活性種や酸化反応機構の詳細について考察を加えた。具体的には、酵素反応における速度論的同位体効果や基質の置換基効果(Hammett PlotやMarcus Plot)などを、モデル反応のそれと直接比較し、両者の類似性を見いだすことにより、直接観測不可能な酵素反応活性種の反応性を明らかにした。さらに中心金属の役割を明らかにするために銅以外の遷移金属-酸素錯体の合成、構造、分光学的および磁気的特性などについて基礎的知見を得た。
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