研究概要 |
光触媒,酸化チタンは超微粒子であるため,ハンドリングが難しいうえに,光触媒活性は紫外光に示すだけで,可視光領域の光には示さない。意匠においては白色であり,色材用担体としては用途が限定される。申請者らが開発した真球状のカーボン/光触媒の複合ミクロ微粒子は,ハンドリングが簡単で,ミクロンオーダーであるにもかかわらず,有害物の除去機能は従来のナノオーダーの光触媒よりも優れている(J.Mol.Cat.Chem A他多数公表)。しかしながら,これも紫外光にのみにしか応答しないこと,灰色を呈していることにより意匠性に劣ることから用途が限定される。そこで本研究では 1)従来のナノオーダーの光触媒よりも,有害物除去機能を維持し、2)意匠性,3)操作性にも優れる色材用光触媒を開発している。 (1)ビスコース相分離造粒法を用いて、粒子化することを念頭に置いているが、初年度は、酸化セリウム、ダイヤモンド、サファイア、アルミナ、すず、ジルコニア、コバルト系顔料、ニッケル系顔料などの複数種の無機材料とセルロースとのコンポジット化を行い、ゼータ電位測定装置を用いて、表面電位とその関係を検討した。その結果、表面電位がマイナス側で、均一な電位を有するほど、表面に露出することが確認された。 (2)無機材料の分散性が大きく関与し、凝集体になると複合粒子に内包され、また、分散性が良好になると表面に分散することが確認された。表面電位の不均一性が大きく関与していることが確認できた。 (3)また、それに伴い、酸化チタンの表面露出の制御が可能であることがわかり、光触媒能の制御も可能であることを確認した。 (4)(1)(2)の知見から、表面に出る無機材料と酸化チタンを選択し、赤色、黄色、青色、緑色、白色の光触媒能を有する三原色光触媒を得ることができた。 今後は、その耐久性および複合粒子のサイズ制御と光触媒能との関連性を調査する予定である。
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