研究概要 |
研究実施計画に従い、ブロック間に紫外線により切断可能な官能基を有するポリ(ε-カプロラクトン)-block-ポリスチレン2元ブロック共重合体(PCL-b-PS)、および、ポリエチレンオキシド-block-ポリスチレン2元ブロック共重合体(PEO-b-PS)の合成を開始した。用いた官能基は5-メトキシ-2-ニトロベンジルアルコール誘導体である。合成したPCL-b-PS、および、PEO-b-PSの分子特性をGPC,H-NMR,DSC等で調べた結果、比較的単分散の2元ブロック共重合体が得られたものの、全体の分子量が当初の計画より小さいことが明らかとなった。現在全体の分子量を増加させるべく、合成方法の改良を行っている。また、ブロック間を完全に切断するための紫外線の照射条件(強度と時間)を検討中である。 得られた2元ブロック共重合体の高次構造は、シンクロトロン放射を用いたX線小角散乱(SR-SAXS)法により解析した。結晶性ブロックの結晶化前後で高次構造が変化していないことが分かり、球状ミクロ相分離構造内で結晶化が進行することが確認された。ここでは結晶化前のPCL領域とPS領域間の電子密度差を確保するための特別な方法を用いた。現在結晶化条件(結晶化温度や結晶化時間)を模索中である。条件が確定したら、まず、鎖を切断しない2元ブロック共重合体(すなわち、球状ミクロ相分離構造中に閉じ込められたブロック鎖)の結晶化過程を時分割SR-SAXS法により追跡し、ひき続き鎖を切断した2元ブロック共重合体(すなわち、球状ミクロ相分離構造中に閉じ込められたホモポリマー)の結晶化過程を調べる予定である。
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