研究課題/領域番号 |
17350102
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
野島 修一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20156194)
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研究分担者 |
石曽根 隆 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60212883)
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キーワード | 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 結晶性ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / 結晶化 / 主鎖切断 |
研究概要 |
本年度の研究実施計画に従い、ブロック間に紫外線で切断可能な官能基を有する種々のポリ(δ-バレロラクトン)-block-ポリスチレン2元ブロック共重合体(PVL-b-PS)を合成し、紫外線照射前後(すなわち、主鎖切断前後)のPVLの結晶化挙動を解析した。そこでは、共重合体の組成を調節することにより、PVLの融点以上で球状、または、シリンダー状のミクロ相分離構造(ナノ空間)を形成するPVL-b-PSを得た。各種ミクロ相分離構造内で結晶化が進行していることをX線小角散乱(SAXS)法により確認し、それぞれの系での結晶化過程は示差走査熱量計(DSC)によって定量的に調べた。 球状、または、シリンダー状ミクロ相分離構造中での鎖の結晶化初期過程では、末端がナノ空間界面に固定されている結晶性鎖(すなわち、主鎖切断前のブロック鎖)の結晶化速度が有意に大きい。これは、ナノ空間界面における核形成の起こりやすさが原因であると考えられる。しかし、結晶化の進行と共にナノ空間中のホモポリマー(すなわち、主鎖切断後の鎖)の結晶化度が追い越し、最終的には大きな結晶化度となる。末端がナノ空間界面に固定されていないホモポリマーでは、とり得る形態の自由度が大きいことが原因であると考えられる。 以上の研究結果は、高分子中に存在する各種ナノ空間中での長い鎖の結晶化機構に対する基礎的知見を提供する。したがって、ポリマーブレンド等の高分子材料中での構成高分子の結晶化に伴うナノ構造制御に対して有用な設計指針を与えると考えられる。
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