研究課題
イオン伝導性高分子のイオン伝導度に及ぼす高圧CO_2または超臨界CO_2処理の影響を調べるために、様々な圧力のCO_2下におけるイオン伝導度の測定を行った。まず、非晶性のポリエーテルであるポリオリゴオキシエチレンメタクリレート(PMEO)と各種Li塩からなるイオン伝導性高分子複合材料を作製し、これらのイオン伝導度を圧力0.1〜20MPaのCO_2下において測定した。CO_2下におけるイオン伝導度の圧力依存性は正であり、また、そのイオン伝導度の値はN_2下における値より大きいことが分かった。イオン伝導度の温度依存性を、Vogel-Tammann-Fulcher (VTF)式及び活性化体積理論に基づき解析した。得られたVTF式のパラメータより、高圧において試料中に浸透・収着したCO_2はイオンの解離及びガラス転移温度の低下を引き起こし、これがCO_2下における高いイオン伝導度及び特異的な圧力依存性の原因であることが分かった。イオン伝導性高分子の構造と物性に及ぼすメソ多孔体シリカ(MPS)の充填の影響を調べるため、結晶性のポリエチレンオキシド(PEO)にLi塩とMPSを複合化した複合フィルムを作製した。また、MPSの細孔中にイオン液体を挿入させたもの(IL-MPS)を作製し、MPSのイオン液体による修飾の効果も検討した。SEM観察により、マトリックス高分子中でMPSは良好に分散していることが確認できた。また、小角X線散乱測定及び一次元相関関数の解析により、MPS及びIL-MPSのハニカム状の規則正しい細孔構造が複合フィルム中においても維持されていることが分かった。PEO/Li塩複合フィルムのイオン伝導度はMPSの充填により増加し、また、IL-MPSの充填ではさらに増加した。また、PEO/Li塩複合フィルムにIL-MPSを充填することにより、イオン伝導度と弾性率の両方を増加させられることが分かった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
J.Polym.Sci. : Part B : Polym.Phys. 43,22
ページ: 3151-3158
e-J.Soft Mater. 1,1
ページ: 14-19
材料の科学と工学 42,6
ページ: 33-38