側鎖に光架橋するメソゲンとしてシンナモイルオキシビフェニル基やシンナモイルオキシトラン基を有する高分子液晶を合成するとともに、それに少量の光増感剤を添加したときの、フィルムにおける直線偏光を用いた光反応と誘起される光学二色性を詳細に検討した。光増感剤としてはベンゾフェノン系、ニトロアニリン系、等を用いた。その結果、光増感剤が軸選択的に光励起されるとともに、メソゲン基に軸を保ったエネルギー移動がおこり、その軸保持のためには増感剤が効率よく軸選択的に光吸収することが必要であることを実験的に確かめた。エネルギー移動はエキシプレックスを経由していることが判明しつつあるが、モデル化合物等を合成し、それを用いて詳細に検討中である。 さらに、800nmのフェムト秒レーザーを用いて、増感剤を二光子させることによっても軸選択的光反応を誘起できることを明らかにするとともに、一光子の場合よりも効率的な軸選択性が生じることがわかった。この現象を利用して、直線偏光800nm集光フェムト秒レーザーをもちいて、パルス照射によりナノ配向構造を形成することに成功した。現在のところ、集光スポットは数100nmであり、薄膜での形成であるので、今後は厚いフィルムを用いて内部配向構造の形成を実施する予定である。
|