研究課題/領域番号 |
17360001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八百 隆文 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (60230182)
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研究分担者 |
ちょ 明煥 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00361171)
花田 貴 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80211481)
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キーワード | ZnO / 分子線エピタキシー / サーフアクタント / 低温成長 / p型ドーピング / 窒素 / 酸化物半導体 / II-VI族化合物 |
研究概要 |
本年度はZn極性面上で原子状水素がサーフアクタントとして機能することを初めて見出した。(従来はO極性面でのサーフアクタント効果は報告されていたが、Zn極性面でのサーフアクタント効果は本研究が嚆矢である。)その結果、水素サーフアクタント分子線エピタキシ(MBE)成長では、サーフアクタントを用いない通常のMBE成長の基板温度より200℃程度の低温成長下でも高温成長と同程度の高品質ZnO単結晶膜がエピタキシ成長することを見出し、高品質ZnO単結晶膜の低温成長技術を確立することができ、アクセプター不純物である窒素を高濃度にドーピングするための準備を完了した。具体的な研究実績は下記のようである。 (1)サーフアクタント有りの場合と無しの場合の両方の条件下でのMBE成長をZn極性面について系統的に進め、種々の基板温度における最適のZn/O分子線フラックス比を求めた。 (2)成長過程を高速電子線回折(RHEED)、成長モフォロジーを原子間力顕微鏡(AFM)によって評価した。サーフアクタント無しの通常のMBE成長では600℃の基板温度以上で2次元成長し、その温度以下では3次元成長するのに対して、サーフアクタントMBEでは400℃以上での基板温度で2次元成長することを見出した。これにより、2次元成長温度を200℃低下できることを見出した。 (3)成長したZnO単結晶エピタキシ膜をX線回折、フォトルミネッセンス(PL)によって評価した。サーフアクタントMBE成長膜、通常のMBE成長膜ともに基板温度の上昇とともに結晶性が向上すること、PL強度の増強が見出された。サーフアクタントMBEによって基板温度400℃で成長したZnO膜のX線回折半値幅、PL強度とスペクトルは通常のMBE法によって成長したZnO膜のX線回折半値幅、PL強度とスペクトルと同程度であった。すなわち、結晶性の観点からも成長温度を200℃低下できることを見出した。なお、400℃でのサーフアクタントMBE成長膜のX線回折半値幅は(0002)ωロッキングカーブ測定で20秒、(10-11)ωロッキングカーブ測定で30秒程度と十分の高品質であった。
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