研究課題/領域番号 |
17360003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20250813)
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研究分担者 |
嶋 敏之 東北学院大学, 工学部, 助教授 (50261508)
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00187981)
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キーワード | ナノ材料 / トンネル効果 / 量子ドット / スピンエレクトロニクス / 電子デバイス・機器 / フェルミ準位 / 帯電効果 / 磁気抵抗効果 |
研究概要 |
スピン依存単一電子トンネル効果の室温での発現を狙い、本研究では素子構造の最適化や材料特性の制御に関する研究を行った。特に、トンネルバリアとなる絶縁層の層厚や物性の精密制御(低抵抗・低キャパシタンスの実現)が鍵であり、ドーピングや欠陥準位の形成によるフェルミ準位の制御等の方法に基づき、MgOを中心とする酸化物バリア層についての実験が研究の中心である。 本年度は、種々の設計層厚・成長条件において、MgOバリアを有する単結晶強磁性トンネル接合と、更にそのバリア層にスピン依存単一電子トンネル効果のための強磁性金属ナノ粒子を挿入した2重接合試料を作製し、それらの成長過程と磁気伝導効果を調べた。フェルミ準位に関する明確な知見は得ていないが、成長条件の適正化により低抵抗のMgOトンネルバリアが形成されること、これに伴い磁気抵抗効果が増大することを観測した。スピン依存単一電子トンネル効果測定用の2重接合試料においてはクーロンプロッケイドを観測することが出来たが、推定されるクーロンエネルギーの大きさは設計から予想される値よりも小さかった。このことに関して、挿入するナノ粒子の種類による上部MgOバリアの構造の変化を調べた結果、ナノ粒子を形成する物質によって上部MgOバリアの構造が大きく変化し、キャパシタンスが大きくなる原因(=クーロンエネルギーが小さくなる原因)となることが明らかになった。スピン依存単一電子トンネル効果を室温で観測するための素子構造最適化における重要な知見である。 上記結果に基づき、挿入するナノ粒子の物質、粒径を変化させた2重トンネル接合試料の作製を行い、バリア層再表面の平坦性等の構造制御の制御性を検討することも行った。
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