研究課題
基盤研究(B)
光ファイバーを用いた光通信においてはGalnPAs/InP系レーザダイオードが用いられているが、閾値電流の温度変化が大きいという問題がある。希土類元素はf軌道より外側に電子分布を持つ閉殻構造の5s、5p殻のために発光線は鋭く温度の影響をあまり受けないという特徴がある。本研究では、閾値、発光強度、発振波長が温度変化に安定な光通信用レーザダイオードの開発をめざし希土類添加半導体の結晶成長、それらの光学的性質、構造的性質を明らかにしデバイス化技術を確立することを目的とした。1.5ミクロン帯発光にはErを、可視領域発光にはEuを用い母体材料にはGaNを用いた。Eu:GaNは濃度およそ2%でEu発光強度が最大となる。この時、EuはT_d対称より対称性の低いC_<3v>対称をとっていることをRBS, EXAFS等により明らかにした。また、母体励起されたエネルギーはトラップを介してEuにエネルギー移動するメカニズムを明らかにした。さらに、発光スペクトル、X線回折結果等の解析より、Euは濃度2%付近から格子間サイトを占めるようになり、これが母体励起に関与していることを明らかにした。Erは約4%でその発光強度は最大を示す。1%程度の濃度ではErはGaN中でT_d対称を保っていることが示唆されたが、4%付近では対称性が低下していることが分かった。また、トラップも形成されていることがわかったが、Eu:GaNの場合のように、エネルギー移動に関わる準位が共鳴するような系ではなく、エネルギー移動がスムースに行なわれていないことを明らかにした。すなわち、InやA1を添加し、バンドギャップを変化させ、トラップの準位を変えることでエネルギー移動のしやすさをコントロールすることで発光強度の増大が見込まれることを示した。また、Euと同様、2%付近からErは格子間サイトを占めることがわかり、これらが発光に寄与している可能性を明らかにした。格子間サイトを占める割合は成長中のV/III比で変化することも明らかにした。これらの結果より、トラップ準位制御(バンドギャップ制御)および格子間サイト制御(V/III比制御)によりデバイス化に必要な発光強度を得る指針を確立した。
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