研究課題/領域番号 |
17360007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深津 晋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60199164)
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研究分担者 |
川本 清 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302822)
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キーワード | シリコン光増幅器 / シリコンレーザ / シリコンフォトニクス / シリコンテクノロジ / ガリウムアンチモン量子ドット / on-off利得 / SOI導波路 / 増幅された自然放出光 |
研究概要 |
間接遷移物質のシリコンを用いた光増幅器およびレーザの実現は、物質科学の究極目標のひとつであるとともに「現代の産業革命」にも匹敵する。その理由は、豊富な資源と安全性に裏打ちされたこれらのデバイスが、低環境負荷、生産コスト合理化の要求に正面から応えられること、さらには、シリコンの天分である電子デバイス能を後ろ盾として、脱砒素の推進、光機能素子のシリコン系材料への置換えを一気に加速させることが可能となるからである。これによりデバイス開発動向の大幅な改訂、ひいてはシリコンフォトニクスに代表される新産業シーズの創出が期待できる。すでに、シリコンテクノロジの革新的展開によって導波路ほかの受動素子は実用化一歩手前の段階まできており、現在は、シリコン光能動素子の台頭に期待が集まっている。 本研究の目的は、従来は不可能とされてきたシリコン系材料による光増幅器およびシリコンレーザのプロトタイプ具現化を模索することである。初年度は、シリコンをエネルギー障壁とするガリウムアンチモン量子ドットにおける光増幅作用につき、これを検証するとともに、チップ型光増幅器レベルにまでシングルパス増幅度(10dB/cm以上)を増大させることを試みた。 量子ドット試料は、分子線エピタキシ法で作製した。対向する(110)劈開面をバット結合させた2つの量子ドットチップをポンプ・プローブ配置で用い、第一チップから発生する蛍光をシグナル光として、第2チップ内での光増幅をロックイン検出し、on-off利得を評価した。第2チップの線状の光励起には、1ns以下のマイクロチップ光源(532nm)を用いた。その結果、SOI構造の導波路において低温ではあるが、15dB/cm以上の利得を得た。さらに、単一チップでの蛍光強度が利得発生と同じ励起強度の閾値をもって非線形に変化する効果を見いだし、「増幅された自然放出光」の発生を検証した。
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