研究課題
平成17年度に、Geのバッフア層を置くことで平坦性の高いMnGeP_2薄膜を作製する試みを行った。その結果、MnPが相分離し析出することを見いだした。このため、第1原理熱力学計算にもとづき相分離を防ぐための成長条件を調べた。この結果、基板温度を上げた場合に単相のMnGeP_2が成長することがわかり、この条件の下にMBE成長した。この結果高混成膜したMnGeP_2薄膜はたしかに単相となったが、室温で磁性を示さなかった。低温成長で磁性を示したのは、欠陥の存在によって生じていたものと推察される。このため、当初の予定を変更し、バルクでの磁性が明瞭なMnPについて、平坦なエピ膜が得られる成膜条件を探った。この結果、10-20nmの薄いMnPは平坦性が高く、かつ十分な磁化をもつが、厚みが増加すると、3次元成長が起き、かつ膜厚に対応した十分な磁化が得られないことが明らかになった。そこで、十分に膜厚の小さな平坦性に優れたMnPを作製し、得られたMnPと別途準備したCoFe合金薄膜を用いてトンネル磁気抵抗素子の作製を試み、トンネル特性を得るとともに、磁気抵抗の観測に成功した。これにより、今後、低温成長条件を最適化して磁性をもつMnGeP_2の平坦な膜の形成に成功した場合にトンネル磁気抵抗素子を作製するための要素技術を確立することが出来た。また、この研究を進める中で、注意深い電子顕微鏡観察の結果、高混成膜した場合に表面にナノウィスカーが成長し、条件によってはウィスカーで覆われることが見出された。このウィスカーの評価の結果、GeまたはMnPであることがわかり、いずれも無触媒でのウィスカー成長であった。
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Proc. 28th Int. Conf. Phys. Semicond. (ICPS2006), July 24-28, 2006, Vienna, Austria (In press)
Phys. Stat. Sol.(a) 203・[11]
ページ: 2788-2792
ページ: 2793-2799