研究課題
基盤研究(B)
p型ワイドギャップ酸化物半導体とZn(Mg)Oとの超格子構造によって、Zn(Mg)Oとコヒーレントに成長しかつp型伝導を示す疑似混晶を実現することを目的に研究を行った。Zn(Mg)0は強い励起子効果による優れた光機能を持ち、紫外領域の発光ダイオード等、光デバイスに向けて期待が高い。しかし、Zn(Mg)Oにおいてp型伝導を得るのが困難なことがその応用を妨げている。本研究は、この問題を独創的な技術によって打破することに意義があるもので、Zn(Mg)0のデバイス応用を進める波及効果につながるところに研究の高い重要性がある。本研究では、Zn(Mg)Oとの超格子構造を作製するp型酸化物半導体として、CuO、Cu_2O、CulnO_2、CuGaO_2、CuAlO_2等のCu系酸化物に着目した。これらは酸化物半導体の中でp型伝導を示す特徴的なものであり、かつc軸配向した六方晶ZnOに対して類似の結晶面を持っている。なかでもCuGaO_2はバンドギャップ3.6eVと大きく、デラフォサイト構造を持ちZnOのc面と結晶形が整合するとともに、格子不整合度は1%以下と小さいことから有力な候補と考えた。結晶成長は分子線成長(MBE)により行った。Cuと0の照射により、主にCuOの層が得られた。CuOは立方晶を取るがZnO上の極薄膜は六方晶を引き継いでコヒーレントに成長した。しかし、CuOではp型伝導は得られなかった。他方、Gaと0の照射により、Ga_20_3の層が得られた。これは5eV近い禁制帯幅を持ち、鋭い吸収端を示した。これらを混合したCuGaO_2では、キャリア密度9×10^<14>cm^<-3>、移動度3.5cm^2/Vsのp型伝導が得られた。この結果を受け、CuGaO_2/ZnO超格子を作製し、キャリア密度10^<14>cm^<-3>台のp型伝導を得ることができた。
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Chemical Physics Letters 441
ページ: 68-71
Japanese Journal of Applied Physics 46
ページ: 7217-7220
Chemical Physics Letters Vol.441(1-3)
Japanese Journal of Applied Physics vol.46 No, 11