研究概要 |
1.フォトニック結晶による光回路の設計・シミュレーション 高屈折率β-FeSi2を用いたフォトニック結晶中での電磁波の伝播を精密に安定に解析するために次の検討を行った.(1)時間領域有限差分法(FDTD)による解析プログラムを構築し,高い屈折率物質でも安定にシミュレーションできる解析条件を見い出した.(2)2次元フォトニック結晶内部に形成した光回路(光導波路,光共振回路,光分岐回路など)について素子単位で導波特性を検討した.(3)素子間を結合するための屈折率マッチング設計と界面の導波シミュレーションを行い,外部回路(Si光ファイバーや導波路)と効率よく結合させた素子構造を見い出した. 2.反応性イオンエッチングによるフォトニック結晶光回路の作製 光回路設計の進捗に応じて明らかになる実際的な回路パターン作製に必要なプロセスを見い出すために次の検討を行った(1)エピ成長β-FeSi2/Si薄膜の必要面積への成膜.シリコン基板とのエピ成長性能に優れたスパッタ成膜法を用い,フォトニック結晶光回路作製に必要な面積の基板への成膜を行い,XRD解析によってエピ結晶軸と歪みの精密測定,FTIRを遠赤外測定(広帯域遠赤外用BSを備品購入)して精密な赤外波長での屈折率測定を行った.光回路設計に必要な実際の屈折率やその異方性を明らかにできた.(2)これまでの研究で実績のあるNLD反応性イオンエッチングとシリコンプロセスガス(SF6,CF4系)を用いて,CADで発生させたパターンからサブミクロン・フォトニック結晶光回路パターンを作製した.許容される加工精度内で光導波路,光共振回路,光分岐回路,チェネルドロップ回路などをそれぞれ独立素子として作製することができた.Crリフトオフ・プロセスでのβ-FeSi2エピ薄膜はエッチング選択性が確保できるが,鉄濃度が高い磁性体Fe3Siでは選択性がなくパターン形成が不可能であった.そこでセルフリフトオフプロセスを開発し,光磁気効果を顕著にする磁性体フォトニック結晶パターンの作製を必要な加工精度で可能にした.
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