研究概要 |
次世代の半導体デバイスの構造は,サブミクロンオーダーでの高機能化,高集積化とともに,その領域での精緻な構造・組成のデザインおよび制御が重要になっている.そのため,デバイス中の各パーツの結晶構造や応力分布もまた多様化しており,デバイスの特性や寿命の劣化を引き起こす原因にもなっている.これらデバイス特性の向上には,劣化原因である局所的な格子歪や結晶組成を解析し,最適な構造にすることが必要である.本研究の目的は,次世代デバイス開発を目指し,デバイス中のサブミクロンの領域を,格子歪Δd/d〜10^<-5>という高感度で評価できる高分解能マイクロX線回折法を開発することである.平成17年度の開発では,以下の研究開発項目を実行した. 1.高分解能サブミクロンX線ビーム回折システムの整備:ゾーンプレートと狭幅スリットを組み合わせた光学系により,サブミクロンのビームサイズで発散角100μradを達成し,サブミクロンの領域を,格子歪Δd/d〜10^<-5>という高感度で評価できる高分解能マイクロX線回折システムを整備した.また,サブミクロン領域の歪を2次元逆格子マッピングできる測定法の開発も行った. 2.測定位置モニターシステムの開発:エネルギー分散型X線検出器であるシリコンドリフトチャンバー検出器を購入し,蛍光X線モニターとして本回折システムに組み込む準備を行った.これにより,周りの物質と異なる元素を含む物質の場合には,その元素からでる蛍光X線をモニターすることにより,マイクロビームが正確にその物質に入射していることが確認できるようになる予定である. 3.歪Si/SiGe/Siヘテロ構造の局所的歪揺らぎの検出:歪Siチャネル形成に必要不可欠なSiGeバッファー層の微小領域X線逆格子マッピング測定を行い,成膜方法によりサイズ70〜400nmの傾斜ドメイン構造が存在することを確認した.
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