研究課題
基盤研究(B)
1.超伝導接合法によるアンドレーエフ反射と光電子分光観察により、La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3薄膜の界面構造、特に界面層として存在するSrOの厚さに依存して、界面スピン分極率が大きく変化することを明らかにした。また、アンドレーエフ反射測定用接合における上部電極超伝導体をNbNとした接合法が、各種強磁性体の界面スピン分極率測定に適用できる汎用性の高い手法であることを見出した2.ハーフメタルLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3(LSMO)多結晶薄膜を用いて、その結晶粒界の界面ハーフメタル性に由来する低磁場磁気抵抗効果の支配要因の解析を行った。Si基板上のYSZ/Ba_<0.4>Sr_<0.6>TiO_3バッファ層上に粒径制御して作製したLSMOの実験から、粒界MRが多結晶薄膜の粒界抵抗に強く依存することを見出した。また、スピン依存散乱とスピン依存トンネルの二つの伝導機構を考慮することにより、粒界MRと界面スピン分極率、粒界抵抗の相関関係を定量的に説明できる新しいモデルを構築した。3.ハーフメタルSr_2CrReO_6(SCRO)において長範囲規則度が0.98の高品質単結晶薄膜が得られた。このSCRO薄膜と各種絶縁体との界面構造を放射光光電子分光により調べ、Re多重ピーク構造と価電子帯スペクトルから、MgOとの界面ハーフメタル性を明らかにした。また、SCRO/MgO/Co接合の特性評価(4.2K、114%のTMR比)から、SCROの高い界面スピン分極率を初めて実証した。4.Si基板上に、NiTa膜とCr膜を積層することによって、ハーフメタルホイスラーCo_2MnGeの高配向性薄膜(擬似単結晶)とMgO絶縁層を用いた配向素子を作製することができた。また、(100)と(110)の結晶配向制御ができることが判明した。これは、MgO単結晶基板を用いることなく、実用性の高いSi基板でも高配向なハーフメタルホイスラー膜ができることを示した研究で工学的な意義は大きい。
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