研究課題/領域番号 |
17360033
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡本 隆之 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (40185476)
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研究分担者 |
FEKHRA H'Dhili 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 協力研究員 (80392091)
馮 晶 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 協力研究員 (30392088)
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キーワード | プラズモニクス / 表面プラズモン / プラズモニック結晶 / プラズモニック・バンドギャップ / レーザー / 有機EL素子 |
研究概要 |
提案したプラズモニック結晶を用いたレーザー(プラズモニック・バンドギャップ・レーザー)の基本構造は2次元回折格子を刻んだ石英基板上に銀薄膜と利得媒質の薄膜を堆積したものである。レーザー発振を実現するためには損失を利得より小さくする必要がある。吸収損失を低減するために、長距離伝搬型表面プラズモンモードを用いことを検討した。このモードを得るためには、金属薄膜の両側の誘電体の屈折率を一致させる必要があるが、本デバイスでは銀薄膜の両側の屈折率が非対称な構造になっている。この構造においても、媒質の厚さを考慮した等価的な屈折率を一致させれば長距離伝搬モードが支持できる。利得媒質として、レーザー色素であるDCMを数パーセントドープしたAlq_3を、銀薄膜の厚さとして40nmを仮定すると。計算により、利得媒質の厚さを100nm程度にしたとき、長距離伝搬型表面プラズモンモードが励起でき、吸収損失が最小になることがわかった。一方、放射損失に関しては、銀薄膜の両界面の格子形状を膜厚の中心線に対して対称にすることで損失を最小に出来ることがわかった。しかしながらこの形状は作製が困難であるため、片面が平坦で片面だけに格子を持つ銀薄膜形状を提案した。さらに、リフトオフ法を用いて、実際にこの形状を持つ銀薄膜を作製する方法を開発した。しかしながら、まだ、表面粗さが大きく、今後それを小さくすることが必要である。 プラズモニック結晶を発光スペクトル幅の狭い発光物質と組み合わせるとで、非常に指向性の高い有機EL素子を作製した。従来の有機EL素子の発光の角度分布はほぼランバート則に従い、全方向に発光するが、発光層としてEu(DBM)_3bathを、陰極として584nmの格子ピッチを持つ銀プラズモニック結晶を用いた本素子では、面と垂直方向に非常に指向性の高い発光角度分布(半値全幅4°)が得られた。
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