研究課題/領域番号 |
17360035
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濱 広幸 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70198795)
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研究分担者 |
河合 正之 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60374899)
日出 富士雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60292207)
武藤 俊哉 東北大学, 大学院・理学研究科, 教育研究支援者 (10431496)
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キーワード | 高周波電子銃 / 時間領域差分(FDTD)法 / 自由電子レーザー / コヒーレント放射 / テラヘルツ光 / 空間電荷効果 / バンチ圧縮 |
研究概要 |
加速器テラヘルツ光源の開発を目的として、熱陰極を用いた高周波電子銃と最適化したバンチ圧縮器を用いて100フェムト秒程度の極短バンチを生成し、これによるコヒーレント放射や自由電子レーザーの可能性を探る研究活動を行ってきた。平成18年度に製作したプロトタイプの高周波電子銃を実機に改造したが、真空リークが発生し完成が遅れたことが問題となったが、ほぼ期待に添った高周波性能を確保することができた。平成17年度から開発してきた時間領域差分(FDTD: Finite Difference Time Domain)法を用いた高周波電磁場計算コードがほぼ完成し、平成19年度ではこのコードを用いて高周波電子銃から電子ビームがバンチ圧縮器および輸送路を通過する間に空間電荷効果によって引き起こされるバンチ伸長およびエミッタンス増大を評価した。その結果これまで議論してきた3つの偏向磁石からなるバンチ圧縮器では空間電荷効果の影響が非常に大きく、目的とする100フェムト秒のバンチ長を生成することは困難であることが明確になった。高次の位相空間歪みを補正することはできないが、飛行経路を短く抑えられるアルファ滋石を用いたバンチ圧縮器を用いる方が圧倒的に有利であることをFDTDシミュレーションで見いだした。この他100フェムト秒の電子バンチがアンジュレータを通過して生成するコヒーレント放射スペクトルを理論的に数値計算して求めた結果、1THz付近の形状因子は0.8以上になり、一方高次光は殆どコヒーレントに増大することがなく、理想的な準単色テラヘルツ放射が得られることが分かった。
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