研究概要 |
基板上に微小な多自由度超音波モータを多数製作するための技術の構築とそのアレイ化された多自由度超音波モータの駆動方法・制御方法の開発を行い、応用を開拓することを本研究の目的としている。 本年度は、昨年開発した単素子をアレイ化するための基本構造の設計を行い、試作機の動作検証を行った。 (1)アレイ構造の決定 アレイ化した場合の問題点が何かを明らかにするために、最小構成の2次元アレイとして、2×2に4つの同一の多自由度モータを並べたものを製作した。直径5mmのステータ円柱を等間隔で縦横に2本ずつ合計4本並べた構造を金属の削り出しで製作し、それぞれのステータ円柱の基部に穴あき円板型圧電セラミックス素子を接着した構造とした。それぞれの圧電素子の上面電極は4分割されており、昨年検討した電圧印加方式によって電力供給し、各ステータ円柱上のボールロータを自由な方向に回転させる。 (2)アレイ化した場合の問題点 同一基板上にモータ振動子をアレイ化した場合、基板を介して振動が他のモータ素子に伝搬するため、書く素子を独立に運転しようとするのが難しいことが分かった。反対に、各ステータ円柱の振動は弾性的に相互に結合しているので、全てのステータ円柱の振動が同様になる傾向にあるため、全てのモータの同期運転は比較的容易であることがわかった。 (3)2次元ステージへの応用 試作した2×2素子アレイモータの上面に平板を搭載することで、この平板をx,y方向に並進運動あるいは中心軸の周りに回転させることができる2次元ステージを検討した。試作機により期待した2方向並進運動と回転運動が実現できることを実験的に示した。 各素子を独立に動作させるために、各円柱ステータ間を弾性的に絶縁した新しい構造の設計をはじめた。次年度以降はこれに基づいた新構造によるアレイ化の検討を行う予定である。
|