研究分担者 |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
小菅 真吾 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335188)
松村 昭孝 大阪大学, 情報学研究科, 教授 (60115938)
曾根 良夫 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (80025923)
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研究概要 |
1.蒸気・気体混合系の円筒間クエット流の研究 異なる角速度で回転している同軸2円筒間の気体の振舞を,円筒がある物質の凝縮相(固体相)でできており,気体がその物質の蒸気(気体相)と別種の気体(非凝縮性気体)の混合気体である場合について考える.このときには,一般に円筒表面で蒸気の蒸発・凝縮(昇華)が起こる.まず,軸方向,周方向ともに一様な流れ(円筒間クエット流)を考え,この流れのクヌーセン数が小さい場合の挙動,とくに連続流極限(クヌーセン数がゼロに近づく極限)における振舞を,ボルツマン方程式の系統的漸近解析によって導出した流体力学的方程式系をもとに解明した.これにより,流れの場が無限小の蒸発・凝縮の影響を受ける「幽霊効果」が現れること,流れの分岐がおこること,などが明らかになった.また,モンテカルロ法によるボルツマン方程式の直接的数値解析により,上述の漸近解析の結果が正しいことを確かめた.これは,平成17年度に引き続いての研究である. 2.蒸気・気体混合系の円筒間クエット流の研究 上記1.の円筒間クエット流において,軸方向の一様性の仮定をはずすと,流れが不安定となり軸方向に並んだドーナツ状の渦流(テイラー渦流)に移行する場合がある.上述の幽霊効果によって変形した円筒間クエット流の流速分布が,この安定性にどのような影響を与え,実際にどのような渦流が起こりうるかの研究を開始した.数値解法としては,モンテカルロ法による直接シミュレーション法を用いた.この数値計算は大規模なもので,一つの流れを得るのに数箇月を要する.平成18年度には既にいくつかの結果を得たが,更なる研究は平成19年度に継続して行う. 3.その他の研究 重力場中の蒸気・非凝縮性気体混合系に特有の不安定現象と流れの分岐を,ボルツマン方程式をもとに明らかにした.また,混合気体ボルツマン方程式に対するモデル方程式の性能を,数値的に評価した.
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