研究概要 |
平成18年度は次に示す3項目の研究を実施し,保護膜の材料・厚さの観点から指針の策定を図った。 1.配線材料と保護膜材料・厚さの組み合わせ配線の損傷予測 配線材料としてのAlとTiNにおけるエレクトロマイグレーション(EM)損傷の検討を行ったところ,TiNの配線はAl配線に対して極めてEM損傷が生じにくいことがわかった。そこで本項目では,TiN層を下層に有するAl積層配線を対象とし,かつビア接続を模擬した構造の配線を扱うこととした。さらに,配線の表面をTEOSとポリイミドの保護膜材料の各々で被覆した配線構造を想定した。既に得られているEM特性定数を用いて,EM損傷に対するしきい電流密度の数値シミュレーション予測を実施することにより,Al/TiN積層配線に対する保護膜材料の組み合わせ毎に,寿命と密接に関連したしきい電流密度の評価を行った。一方,想定した配線構造の試験片を作製し,加速通電実験を実施した。実験後の観察より,通電によるEM損傷を確認することができた。現在,導入した損傷の定量化に基づいて各組み合わせのEM特性定数の導出を図っている。 2.実験による予測結果の検証 研究項目1で想定した組み合わせ配線の作製を行い,通電実験を実施した。ビア接続を模擬した配線構造を対象としたため,通電実験によるEM損傷しきい電流密度の評価を図った。通電が長時間に亘るため現在も実験を継続中である。 3.組合せ配線構造体の機械的特性評価 研究項目1で作製した組み合わせ配線を対象に,微小表面材料特性評価装置を用いたナノ・インデンテーション試験を実施した。これによりTEOSとポリイミドの保護膜各々で表面近傍の弾性率の評価を行い,TEOSの弾性率はポリイミドに比較して4.5倍ほど大きいことがわかった。また,押し込み量の大きな試験を実施することにより,保護膜-配線間の付着強度について検討を行った。
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