研究概要 |
光通信やIT産業の著しい発展に伴って、高効率導光板、様々なサイズからなる凹凸マイクロレンズアレイ、ディスプレイ表面の正反射防止フィルム、非球面マイクロレンズなど高付加価値で高機能な3次元微細構造を創成する超精密微細加工技術が問題になっている。そこで本研究では、高機能3次元微細構造を創成するための3つの新たなレーザ微細加工法を提唱し、その確立を目指す。1)自己精度収束効果を利用した創成法,2)レーザ重複効果を利用した創成法,3)金属隆起現象を利用した創成法である。本年度は高機能3次元微細構造を創成するための基本的な加工装置の構築と、理論解析を含めた基礎実験に重点をおいて活動した。前述した加工法を実現できるシステムを既存の光学定盤上に構築した。とくに、加工ヘッドでは既存の光学顕微鏡を用いて、照明光とYAGレーザを同軸上に投入できるように改造した。なお、加工箇所の観察には既存のCCDとλ=532nm用カットフィルターを用いて観察系を構築した。 1)自己精度収束効果を利用した創成法に関する基礎検討:所望の径と深さをもつ球面(凹)を得るために最適なレーザ加工痕の導出を目的としたシミュレーションをANSYSを用いて行った。また、計算に用いるため、エッチングレートとエッチャント温度、濃度の詳細な関係を実験的に明らかにした。 2)レーザ重複効果を利用した創成法のための基礎検討:ビーム強度分布・温度分布のシミュレーションを行った。また、加工ステージの構築としてガラス基板を透過したレーザを再びガラスに入射させるためのステージを構築した。 3)金属隆起現象を利用した創成法のための基礎検討:金属は主に鉄系材料を使用し、隆起現象をより明らかにするためレーザ照射時の温度分布および熱応力と時間の関係を明確にした。また、隆起現象の主要因を明確にするため雰囲気を変化させてレーザ照射し隆起現象の違いを詳細に検討した。
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