研究概要 |
1.本研究では,主軸頭旋回形とテーブル旋回形の2種類の5軸制御マシニングセンタを取り上げ,主軸頭旋回形については,ISO10791-6に準拠した測定方法のもつ意味を解析するとともに,その有効活用について検討し,テーブル旋回形については,新たに同期運動精度を検査する方法として,直進軸と旋回軸とを同期させて運動させる方法を提案し,その有効性を確認した。 2.ISO10791-6では,同時3軸制御運動を利用して主軸頭旋回形5軸制御マシニングセンタの運動精度を検査することを規定しているが,規定された運動を行わせても,測定された結果には特に意味のあるデータを得ることはできないことをシミュレーションによって明らかにした。しかし,その運動を拡張するとともに,測定器であるボールバーをオフセットさせて取り付けたときの運動を行わせることによって,主軸頭旋回形に存在する固有の偏差10個を高精度に同定できることを明らかにした。この方法では,観測方程式を利用して6個の偏差を同定し,さらに幾何学的な関係を利用して,残りの4個の偏差を同定する方法を提案し,その有効性をシミュレーションによって確認した。 3.テーブル旋回形5軸制御マシニングセンタでは,旋回軸と直進軸の同期運動精度を測定する方法を考案し,シミュレーション,測定,実切削とを行い,その有効性を確認するとともに,測定条件を明らかにした。特に提案した方法は,サーボ系の影響を見る方法として効果的なことを明らかにした。 4.以上の成果から,5軸制御マシニングセンタの機構及びサーボ系誤差を考慮した工作精度の予測が可能になる手がかりを得た。
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