研究概要 |
心臓移植に代わる心臓病の治療,循環維持法として,高耐久埋め込み型人工心臓の実現が待ち望まれている.また,心臓移植までのつなぎ(ブリッジ),心臓手術後の循環補助として,従来のメカニカルシールを用いたものに比べ高い耐久性を有する使え捨て(ディスポーザル)タイプの体外設置型血液ポンプに対する強いニーズもある.この社会な要請に対して,次の目標を設定し,研究を行った. 1)コンパクト磁気軸受を用いた体内埋め込み型遠心ポンプ式人工心臓の実現,目標:吐出圧力100mmHg,吐出流量5L/min以上,消費電力10W以下(モータ,磁気軸受含め),世界最小・最軽量(寸法Φ60×H45mm以下,質量350g以下),血球破壊(溶血)既製品の5分の1以下 2)磁気軸受を用いた体外設置型ディスポーザル血液ポンプの実現,目標:ポンプ性能は(1)と同じ,使い捨て部分の構造単純化(→低コスト化)とディスポーザル化のための使い捨て部分と再利用部分との脱着メカニズムの開発. 平成17年度の研究結果として, 1)コンパクト磁気軸受を用いた体内埋め込み型遠心ポンプ式人工心臓の実現に関しては,ポンプ寸法(Φ60×H45mm以下),重量400g以下,流量特性(吐出圧力100mmHg時,吐出流量5L/min以上,消費電力6.5W以下(磁気軸受1.5W以下,モータ5W以下)),溶血指数は,従来の接触型軸受を用いたものに比較して,50%まで低減したものを実現した. 2)体外設置型対応磁気軸受を用いたディスポーザル式遠心血液ポンプに関しては,2自由度制御型軸受と新規のカップリング機構を組み合わせたポンプヘッドを提案し,実際に試作を行った.5L/minの吐出流量,250mmHgの吐出圧力を実現し,溶血指数は,従来の接触軸受を用いたものに比較して,5〜7分の1以下の性能を達成した.
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