研究課題/領域番号 |
17360074
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤川 重雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70111937)
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研究分担者 |
矢野 猛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60200557)
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キーワード | 気液界面 / 相変化 / 蒸発・凝縮 / 分子動力学 / 分子気体力学 / 気体論境界条件 / 蒸発係数 / 凝縮係数 |
研究概要 |
本研究は非平衡気液界面での蒸発・凝縮を対象として、(1)「衝撃波を利用した実験」と「多原子気体に適用可能なボルツマン方程式の理論解析」との融合による水の蒸発係数と凝縮係数の決定、(2)分子動力学によるアルゴンのナノ液滴に対する蒸発係数、飽和蒸気圧及び表面張力の決定を目的としてなされたものである。その結果、以下のことを明らかにした。 (1) 水の凝縮係数は、気液平衡状態に近づくにつれて1に漸近する。気液平衡状態では蒸発係数と凝縮係数はこれらの定義から等しいこと、及び分子動力学に基づく蒸発係数の計算値は0.99(300K)であることから、平衡状態近傍での凝縮係数の本測定値は計算値と極めて良く一致している。 (2) ナノ液滴の蒸発係数は液滴径に大きく依存し、微小な液滴ほど蒸発係数が小さい。 (3) ナノ液滴の飽和蒸気圧は液滴径に大きく依存し、微小な液滴ほど蒸気圧が高い。 (4) ナノ液滴の表面張力は液滴径に大きく依存し、微小な液滴ほど表面張力が小さい。 上記(1)の結果は、水-水蒸気系の気液界面での相変化(蒸発・凝縮)に関して支配的な役割を果たす蒸発係数及び凝縮係数の約1世紀にわたって行われてきた研究に終止符を打ったものと位置づけることができる。また、(2)〜(4)の結果は、これまで常に曖昧さが伴っていたナノ液滴の物理的性質を正確に解明したものと位置づけることができる。
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