研究概要 |
ターボポンプの高性能化・小型高速化の実現には,キャビテーションの発生とそれによる不安定現象の回避・抑制が課題であり,その解決には三次元的に発達する渦構造とキャビティの挙動を明確に捉えておくことが非常に重要である.本年度は,キャビテージョンサージ現象の抑制に対して有効であることが分かっている軸対称障害板(RP)および非軸対称障害板(BP)の上流設置について,それらによる入口逆流渦構造の変化とサージ抑制機構を,前年度構築したキャビティ全周パターンのマルチカメラ撮影等の実験手法およびCFD(数値流体力学)解析を用いて明らかにした. 1.RP設置による入口大規模逆流構造の成長過程の変化 CFD解析により,低流量時に生じるインデューサの入口翼端側の逆流を詳細に解明した.その結果,軸対称障害板(RP)により逆流が抑制されて小規模化するのに加えて,逆流が翼間のより下流から生じるためその角運動量が大きく,これによりインデューサ入口での圧力が増加することが分かった.このことは,実験における壁面静圧計測結果と一致し,この圧力上昇によりキャビテーションサージが抑制されることが分かった. 2.BP設置によるキャビティ全周パターンの広域可視観察と流れ計測 前年度構築した複数(計5台)のCCDカメラを用いたマルチカメラ撮影法を用いて,BP設置時のキャビティパターンをインデューサ翼とBP位置との位相を固定したアンサンブル平均により構築し,BP位置とキャビティの大小パターンの関係を明らかにした.また,並行して行った翼間壁面静圧計測により圧力分布とキャビティパターンの整合性を確認するとともに,インデューサ翼前縁直前及び直後において流れ場のLDV(レーザードップラー流速計)計測を行い,障害板設置によるインデューサ翼間流入流量の変動を明らかにし,非対称なキャビティパターンの形成機構を明らかにした.
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