研究課題/領域番号 |
17360087
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
依田 眞一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 教授 (00344276)
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研究分担者 |
松本 聡 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・ISS科学プロジェクト室, 研究員 (90360718)
今石 宣之 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (60034394)
益子 岳史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・ISS科学プロジェクト室, 宇宙航空プロジェクト研究員
石川 毅彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 助教授 (00371138)
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キーワード | マランゴニ対流 / 低プラントル数流体 / 溶融金属 / 超音波可視化法 / 振動流 / 流体不安定性 / 数値解析 / モード構造 |
研究概要 |
低プラントル数流体に発生する液柱マランゴニ対流の遷移現象解明を目的に、実験および数値解析的研究を行った。超音波可視化法の構築のために、トレーサ粒子の液柱への混入法や可視化装置の実現性検討を行った。その結果、トレーサに関しては、ペレット状にした固体スズ中に300μm程度の中空トレーサ粒子を埋め込む技術を確立した。このときに、表面の酸化物は不純物として実験を妨げるため、酸化を抑制するため不活性ガス中ですることが必要であった。可視化装置の実現性検討においては、実験装置に超音波トランスデューサを組込み、液柱を形成した状態でワイヤ像を明確に捉えることに成功した。また、前述の中空トレーサ粒子を液柱に混入しトレーサ像を捉えた。超音波可視化法の技術確立が進んだことにより、今後は実際にマランゴニ対流を発生させた状態においてトレーサの時々刻々の位置を捉え、流れ場の解明を行う予定である。 超音波可視化法の確立と平行して、熱電対による温度場計測を行い、マランゴニ対流の挙動を捉え流れの遷移挙動を明らかにした。微小な温度変化を精度良く測定し,数値解析で予測された第一遷移点の観察に成功した。また、振動遷移後に現れる比較的高周波で振幅の小さい振動から、低周波で大きな振幅の振動への遷移の温度変動パターンを得た。複数の熱電対から得られた温度変動やそれらの位相情報から、対流のモード構造を推測した。その結果、液柱のアスペクト比が1.4(半径3mm、高さ4.2mm)の液柱において、流れのモード構造はモードm=2の構造が回転しており、回転の周波数は0.008Hzであると考えられる。また、流れの駆動力が大きい場合に、複数の振動モードが重畳する様子を観察し、流れの不安定性による複雑な流れを捉えた。今後は流れ場の計測および数値解析による結果と合わせ、遷移現象の解明を進める計画である。
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