研究課題/領域番号 |
17360091
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 雅隆 群馬大学, 工学部, 教授 (80112176)
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研究分担者 |
天谷 賢児 群馬大学, 工学部, 助教授 (20221731)
斉藤 正浩 群馬大学, 工学部, 助手 (50170527)
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キーワード | ガスタービン / 燃焼器 / 低NO_x燃焼 / 液体燃料 / スワール / 内部EGR / 希薄燃焼 / 保炎 |
研究概要 |
地球環境保全のための一つの手段として小型分散型の発電機器の普及が期待されており、マイクロガスタービンによる発電が注目を集めている。このマイクロガスタービンの燃料源としてはガス燃料と液体燃料が考えられるが、災害時においても、安定した燃料の確保を念頭におくと、液体燃料を使用した分散型発電を普及させることが好ましいと考えられる。一方、日常的な運用を考慮すると、灯油系の液体燃料は低コストであるが、燃焼機器としての大気汚染の問題を解決する必要がある。本研究はこのような観点から液体燃料用の超低NOx燃焼器を開発するものである。 本研究では、燃焼器の一次燃焼領域において、通常とは逆方向から燃焼用空気を供給し、一次燃焼領域内に燃焼ガスの反転流を形成させ、これにより保炎と内部EGR効果による低NOx燃焼を行わせる。この方式は遡上スワール流を意図的に形成する燃焼器として、独自の方式である。 本年度は、この一次燃料領域における燃焼特性の解析を、温度分布、酸素、CO_2、NOxなどの排ガス分析、レーザドップラー流速計による燃焼時の流速測定をもとに行った。レーザドップラー流速計による燃焼時の流動解析により、上記の反転流が遡上スワールによって形成されている事実の確認を行うことができた。また一次燃焼領域の長さ、出口の絞り部の径、スワールの強さなどを変化させて、安定燃焼範囲を評価基準とした場合の最適燃焼器形状を求めた。 一次燃焼領域内の温度分布や各種のガス濃度分布、流速分布、石英燃焼筒による火炎の直接観察などを総合して検討した結果、初期に意図した燃焼メカニズムにより燃焼が行われていることを確認することができた。本年度に得られた主要結論は以下のとおりである。 1.一次燃焼領域の長さを最適値とすると、内部では空気比1.5程度の希薄燃焼を行わせることができ、この希薄燃焼が安定して維持する機構として遡上スワールによる反転流の効果を確認することができた。 2.一次燃焼領域が長すぎる場合、一次燃焼領域で拡散燃焼が生じるため、COとNOxの排出量が増加し、燃焼安定性も低下する。 3.一次燃焼領域の形状を最適化した場合、NOxの排出濃度は30ppm以下となり、燃焼量に対応するEI-NOxとして表すと0.8gNOx/kg-Fuelとなり、現状のガス燃料燃焼器のレベルより低いNOx排出濃度を達成することができた。 4.研究の2年度以降では二次燃焼領域の燃焼特性の最適化と拡散燃焼時に生成する炭素状微粒子の生成要因を調査するが、その研究を行うための計測手法の準備、また数値計算を行う準備を進めることができた。
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