研究課題
今年度は、T字一体型ナノプローブの改良を行い、プローブ製作の歩留まり向上を目指すと同時に、測定精度の向上、手順の自動化など、測定システム全体の高精度化を目指して研究を進めた。カーボンナノチューブ(CNT)の熱伝導率の測定だけでなく、この測定法の精度に重要な影響を及ぼす、懸架白金ナノ薄膜の熱伝導率および電気伝導度と製造プロセスや組織構造との関係について、実験的・理論的な検討を行い、多くの新しい知見を得た。1.T字一体型ナノプローブの特性評価加熱用白金ナノフィルムの寸法にはナノフィルム自体や被測定試料の熱伝導率に依存した最適値がある。このため、白金ナノフィルムの熱的・電気的特性を詳細に測定し、線幅、厚さおよび長さとT字一体型ナノプローブの特性の関係、すなわち、CNTの熱伝導率測定に及ぼす影響を明らかにした。2.ナノフィルムの熱的・電気的特性成膜速度や膜厚を変化させたナノフィルムの熱伝導率および電気伝導度の詳細な測定を行った。これらの特性は膜の厚さではなく、多結晶膜の結晶粒のサイズによって大きく影響を受けることを明らかにするとともに、電気や熱のキャリアである電子の表面散乱や粒界出の散乱を考慮した従来の理論と比較した。その結果、薄膜の物性がバルク材に比して大きく低下する原因は主として粒界における散乱によることを確かめられた。また、金属薄膜ではWiedemann-Frantz法則が成立しない理由にっいても明確な説明ができた。3.接触熱抵抗の同時測定試料のCNTとナノフィルムの接合点における接触熱抵抗の値をCNTの熱伝導率と同時に測定する方法を確立した。ただし、2段式ヒートシンクのMEMSによる製作は困難を極め、実際の測定を遂行するには至らなかった。4.CNTの熱伝導率の測定と評価数種のカーボンナノチューブについて熱伝導率度の測定を行い、先に行った測定値と比較した。測定値に再現性があることが確認され、本手法の有効性が確かめられた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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