研究課題/領域番号 |
17360098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤井 丕夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90038589)
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研究分担者 |
吾郷 浩樹 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (10356355)
高橋 厚史 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (10243924)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 熱工学 / カーボンナノチューブ / 物性計測 / 熱伝導率 / 電気伝導度 / ナノ薄膜 |
研究概要 |
本研究はT字-体型ナノプローブを用いた極微細線材の熱伝導率測定法をカーボンナノチューブ(CNT)に適用し、本測定法を完成の域にまで到達させることを目的とし、当初の研究計画に従って以下の研究を進めた。 1)T字-体型ナノプローブを構成する加熱用ナノフィルムを改良、膜が均質で電気的特性が良好な加熱用ナノフィルムの製作手法を確立した。さらに、熱伝導率及び加熱用ナノフィルムとナノチューブ間の接触熱抵抗を同時に測定する方法を提案し、二段式ヒートシンク付きナノプローブを設計・製造することに成功した。 2)CNTを独自に製作することを試みた。アモルファスカーボンの付着が少ない良質のCNTを製作し、その構造や寸法などの特性を試料ごとに個別に評価した。 3)厚さが異なる種々のナノフィルムの電気抵抗、熱伝導率およびそれらの温度依存性について、低温(77K)から常温(300K)までの温度範囲で測定した。さらに、XRD及びTEMにより加熱用薄膜ナノフィルムの微細構造とその電気抵抗、温度特性及び熱伝導率との関係を明らかにした。 4)CNTの熱伝導率の測定だけでなく、この測定法の精度に重要な影響を及ぼす、懸架白金ナノ薄膜の熱伝導率および電気伝導度と製造プロセスや組織構造との関係について、実験的・理論的な検討を行い、多くの新しい知見を得た。 5)成膜速度や膜厚を変化させたナノフィルムの熱伝導率および電気伝導度の詳細な測定を行った。これらの特性は膜の厚さではなく、多結晶膜の結晶粒のサイズに依存していることを明らかにし、電気や熱のキャリアである電子の表面散乱や粒界での散乱を考慮した従来の理論と比較した。その結果、薄膜の物性がバルク材に比して大きく低下する原因は粒界での散乱にあることを確かめた。また、金属薄膜ではWiedemann-Frantz法則が成立しない理由についても明確な説明ができた。 6)数種のカーボンナノチューブについて熱伝導率の測定を行い先に行った測定値と比較した。測定値に再現性があることが確認され、本測定法の実用性が確かめられた。
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