研究概要 |
(1)ピコリットル液滴のハンドリングにおけるマランゴニ効果 ピコリットル程度の微小液滴のハンドリングにおいて,マランゴニ対流の効果を実験的に調べる実験を実施した.とくに形成される液滴の体積を求める解析を行い,実験結果ともよく一致することを示した. (2)マランゴニ対流による液体輸送(マランゴニポンプ) 薄液膜の輸送に適した形状として,流れ方向に平行に温度勾配印可素子を挿入する形状を考案して実験し,液体を駆動しうることを示した.とくに温度勾配の大きなときに流れが振動的になることを世界的にもはじめて見出した.並行して,数値シミュレーションを実施し,印可する温度勾配と駆動しうる流量の関係を調べた. (3)より大きなアスペクト比の液柱マランゴニ対流の実現とPASの観察 アスペクト比(Γ=高さ/半径)のできる限り大きな液柱の形成に挑戦し,直径が1.5mmがの液柱によって,Γ=2.5を達成した.このとき,モード数m=1の粒子集合(PAS)を発現させることが出来た.その際,条件によって,同じm=1でも,異なる形状のPASが発現することを新たに見出し,これが従来から観察されるPASとは発生機構の異なるものであることを示した. (4)宇宙ステーションにおける実験の準備 平成20年(2008年)に本代表者が提案しているマランゴニ対流の宇宙実験が実施できる予定である.これについて,地上においてできる限りの模擬実験を進め,基礎となるデータを蓄積している.とくに,粒子の放出条件を定める航空機実験や周囲気体の影響を定める実験,試験液体の蒸発実験等を行い,宇宙実験の条件設定に反映した.
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