研究概要 |
本研究の目的は,把持と操りの動作をより確実にかつ安全に行うために,これまで通常検討されてきたものよりもさらに柔らかい柔軟表皮で覆ったロボットハンドシステムを開発し,その制御方式を確立することである.この高柔軟表皮構造を用いることによって把持対象物に加わる外力に対してかなり大きく順応変位する柔らかい把持状態から,指と対象物の相対変位がほとんど生じない硬い把持状態までを実現することができる.また,物体を把持した際指表面の変形により物体と指表面との接触面積が大きくなるため,一般に確実な把持操りを実現しやすく,またたとえば対象物の角に指をあてて把持することもできるなどの汎用性が得られる.当該研究期間内に得られた成果の概要は以下のとおりである. 1.高柔軟表皮を持つ多指ロボットハンドを用いた把持操り作業の実現 把持操りにおける柔軟表皮の有用性をいくつかの機能に分けて実験的に確認したものであり,(1)位置制御をベースとする把持操り作業のための制御方策,(2)把持操り技能の高度化,(3)柔軟な指腹を持つロボットハンドによる蓋開け動作,(4)視覚情報を用いた未知形状物体の把持,(5)柔軟な足裏を持つヒューマノイドロボットの歩行安定性,の5つの成果としてまとめている. 2.把持操りの基礎研究 多指ハンドによる把持操りに関する基礎的研究を行ったものであり,(1)要求外力集合を用いた把持の最適化,(2)能動受動混合拘束下での物体操作,の2つの成果としてまとめている.
|