研究概要 |
本研究では,水噴流や空気噴流によって非接触に対象物に力を加え,そのときの変位情報から対象物のインピーダンスを推定する問題を取り扱った.ここで,噴流の与え方,位置計測方法の違いによって実際上4パターンに分けることができる.力をポイントで与えて変位をポイントで計るタイプ1,力をポイントで与えて変位を広領域で計るタイプ2,力を広領域で与えて変位をポイントで計るタイプ3,力を広領域で与えて変位も広領域で計るタイプ4と分類した.本年度は,空気噴流によって力を広領域で加えて変位を広領域で計測するタイプ4について取り上げ,動特性の異なる部位を観測者に視覚的に提示する非接触インピーダンスイメージャの試作器を設計開発した.ここでは,印加された空位噴流に対して高速に振動する対象物の挙動を振動計認識装置によって取得し,観測者へ表示する手法を採用した.この際,対象部位が,印加によって通常のビデオレート(30フレーム/秒)を超えた振動数を有する場合,照明制御装置によって露光時間をダイナミックに調整し,ヒトの肉眼における視覚的な振動数を擬似的に減少させて表示する.また,ここで得られた実振動特性に基づき,対象の通常部位と異常部位によるインピーダンスパラメータの違いを定量的に解析した.ここでの解析結果を使用して,観測者の視覚的な異常部位の判定とインピーダンスパラメータによる定量的な異常部位の判定に対する相関関係について調査した. 以上の基本原理を,シリコンで作られて疑似対象物に対する実験によって検証し,硬さの違う部分を明確に観測者に提示できることを確認した.また,医学部からの協力を得て,摘出された肺における腫瘍位置の検出実験を行い,肉眼では確認できない肺内部の腫瘍を発見できる可能性があることを確認した.
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