研究概要 |
本研究は,障害者(頸椎損傷者,筋ジストロフィー)を対象としたバイラテラルサーボシステムを用いたリハビリテーションアームの構築を目的としている. 従来のロボット設計では,1つのアクチュエータで一つの関節を駆動するが,本研究では,人類特有の1つのアクチュエータで二つの関節を駆動する機能と拮抗筋によるブレーキの効果を工学的に模倣した新しい二関節筋型アクチュエータを用いることによって人間の腕の機能に近い動作を実現したリハビリテーションアームの研究である. 本年度は,この新型アクチュエータを用いた障害者自身が操作できるリハビリテーションアームの設計試作を行った.このアームは,ヒトの腕の機構と動作を模倣した構造を持ち,車椅子に搭載されている.バイラテラルサーボシステムのマスター部は車椅子の裏側に搭載され,スレーブ部はアーム内に内蔵され,位置制御系と力制御系により動作する. このリハビリテーションアームの主要な特徴の1つに,前腕の橈骨・尺骨を模倣した新機構がある.この機構は,ヒトの前腕の橈骨・尺骨がねじれるように交差することで実現される手首の回転を2つの直動型バイラテラルサーボシステムを使って実現している.この機構によって,これまで困難であった保持力の高い回転運動が可能となり,障害者の前腕の動きを滑らかにパワーアシストすることと,ヒトの腕の構造に適した自然な動きにより,リハビリテーションが実現可能となった.
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