研究概要 |
本研究は,動物特有の拮抗筋の効果を工学的に模倣した新しいアクチュエータを開発したことに始まる.これまでの研究から,バイラテラルサーボ系(位置決め制御,力制御)を新しい概念でシステム化することによって,(1)安全性の確立,(2)操作性の確立,(3)強力な出力の発生を進めることが可能になった.特にこれらの(1)〜(3)は障害者用パワーアシストに有効であることが確認されている. 平成17年〜19年までの成果は、 (1)頸髄損傷者を対象に、障害者自身が操作できるリハビリテーション・アームの設計・試作を行い、特に、前腕の機構を撓骨・尺骨を模倣した機構の開発、上腕部に二関節筋を模倣したアクチュエータの開発から、よりヒトの腕の動きに近いアームを設計・試作した。 (2)脳障害による手のリハビリテーションは、機能回復が難しく世界的な課題である。特に、5指を独立に動かすメカニズムと制御(位置と力制御)に対応した手の装具は国内外とも無く、本研究は、バイラテラルサーボを導入することで設計・試作した。 (3)リハビリテーションの機能回復には、アームおよびハンドの動作プログラムと訓練用プログラムが重要である。アームのデータベースとして、格子点座標系と言うアルゴリズムを開発し、また、ハンドに関しては、指の反力を検知し動作プログラムの開発を進めた。これらのソフトウェアは実用段階ではないが障害者を対象とした訓練へ進む準備はできた。
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