研究概要 |
SF_6ガスは絶縁材料として極めて高い性能を有しているが、地球温暖化係数が大きく、その使用が制限されている。これに代わる一つの絶縁方式として、電源導体部に非晶質フッ化炭素(a-C:F)膜をプラズマ化学気相成長(PCVD)法により被覆し導体部からの二次電子放出を抑制、その結果大気(窒素と酸素)によるガス絶縁に於いてもSF_6ガスと同程度(またはそれ以上)の性能を得ることのできる、新複合絶縁方式を提案した。 結果を要約すると、1)数百ナノメータ程度のa-C:F膜が金属(銅とAl)球表面に物理化学的に安定に堆積できる、2)膜質を表面分析装置(SEM, XPS及びFTIR、等)で評価すると物理化学特性がテトラフルオロエチレン(低誘電率と高絶縁耐力)に近いものが得られる、3)本薄膜を堆積した球電極間の空気中パッシェン特性(pd(気圧と電極間隙の積)領域における絶縁破壊電圧)はSF_6ガスの特性と同程度、4)a-C:F膜表面の特性は、バッファガス(Ar, He)に依存する、等ことを示した。また、簿膜の一部が絶縁破壊したときを想定し、既存の膜上に状にa-C:F)膜をプラズマ堆積した場合、5)本膜の二重、三重層境界を確認するとともに、三重層膜表面では前層のストレス部に対応して現れると思われるに規則的模様の現れることが観測された。
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