研究課題
基盤研究(B)
固体高分子膜のアノード側に大気圧の加湿水素を流し、外部電源でカソード側に電流を流すと通電電荷量に見合って水素が移動し、電気化学的にカソード側へ昇圧できる。この時、化学的エネルギーは関与せず、圧縮仕事のみが必要となる。この水素ポンプは理想的には等温圧縮過程であり、圧縮動力は現在普及している機械的な断熱圧縮動力の半分程度になり、大幅なエネルギー節約効果が期待できる。また、同様の装置構成で、PEFCなどからの排水素を回収する水素分離ポンプとして動作させることもできる。水素分離ポンプは排水素を回収するだけでなく、排燃料中の残存CO_2を分離する応用も考えられる。これら水素ポンプや水素分離ポンプの基礎動作特性を明らかにすることを本研究の目的とした。その結果、断熱圧縮効率換算でほぼ1となる低圧縮動力での圧縮水素ポンプ運転ができること、将来のさらなる高圧縮比化を想定してのスタック運転による直列多段圧縮運転も問題なく行えることを確認した。法規上の制限から10気圧までの昇圧にとどめたが、実験装置にはまだ余裕があり、より高い圧力までの昇圧も可能であると考えられる。水素分離ポンプでは、窒素や二酸化炭素を混合した1%水素濃度のガスから、ほぼ100%の水素を回収することができた。この時のアノード出口の水素濃度は窒素混合の場合で50ppm以下、二酸化炭素混合の場合で70〜90ppmと極めて低い値であり、水素分離ポンプの水素回収能力が極めて優秀であることが示された。さらに、ガス流量や濃度が変化するような実際に近い状況の試験を行い、そのような場合でも安定的に水素を回収可能であることが確認された。
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Journal of Power Sources 164-1
ページ: 1-8
Journal of Power Sources Vol 164, No.1
電気学会論文誌B 126
ページ: 926-932
IEEJ Transactions on Power and Energy Vol.126, No.9
機械学会論文集B編 (印刷中)
Trans.JSME B (in printing)