研究概要 |
本研究は、ソフトスイッチングの導入により、スイッチング損失の低減は勿論、スイッチングサージや高いdv/dtの緩和が可能であるARCPマトリックスコンバータを設計・試作し、実用化に伴う設計技術の蓄積を行うと共に、LCフィルタが引き起こす不安定性等大容量化に伴う問題点を検討することを目的としている。昨年度は、各種回路部品の非線形性やその配置、負荷、制御システムも含めた総合的解析が可能なシミュレーションプログラムの開発を行った。さらに理論的検討に基づき、3相、200V,10kWのARCPマトリックスコンバータの設計・試作を行った。本年度は、ハードウエアならびに制御アルゴリズムの改良を行い、実験結果に基づき、ARCPマトリックスコンバータの実用性を確認した。 (1)ARCPマトリックスコンバータの改良 昨年度の試作・実験結果に基づき、設計の見直しを行ない定数の再設定などARCPマトリックスコンバータのハードウエアの改良を行った。 (2)制御アルゴリズムの改良 ARCPマトリックスコンバータの過渡状態を含む動作モードを検討した結果、昨年度試作したシミュレーションプログラムでは不十分であることが判明したため、制御アルゴリズムを改良した。 (3)実験による検証 改良したハードウエアならびに制御アルゴリズムを組み込んで実験を行った結果、シミュレーション通り運転が可能であることを確認し、本装置が実用的であることを確認した。 (4)安定化アルゴリズムの検討 LCフイルタのコンデンサ電荷量を補助スイッチで制御し、外部変動の際にも電圧変動を補償できる安定化アルゴリズムの検討を行った。 (5)ARCPマトリックスコンバータシステムの検討会 長崎大学,ドレスデン大学,安川電機での研究成果を持ち寄り、設計プログラムの有効性、ARCP方i式と通常システムとの比較、大容量化に伴う問題点とその対策等についての検討会を開催した。
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