研究概要 |
本研究は、省資源・省エネルギー・環境低負荷等を視野に入れたシリサイド環境半導体である熱電変換材料マグネシウム・シリサイド(Mg_2Si)を対象としている。本研究の目的は以下に示すものである。 (1).ダイキャスト結晶育成法、放電プラズマ焼結法によるMg_2Siバルクの合成 (2).Mg_2Siの結晶学・構造的、電気的基礎物性および実用温度域(中高温)における素材料の熱電特性評価 (3).合成したMg_2Siをモジュール化するための要素技術のプロセス開発 これらをふまえ,当該年度は, (1).育成・焼結バルク基板の熱電気的物性評価 (2).p形・n形不純物の導入機構とドーピング制御 (3).電極一体成型のための電極材料と合成プロセス条件の探索 について基礎的な所見を得ることを主として行った。その結果,以下に示す知見が得られた。 (1).前年度に引き続き、ダイキャスト結晶育成法、放電プラズマ焼結法において単層のMg_2Siバルク試料を作製し、プロセスに依存した不純物混入を抑制して高い熱電特性の得られるアンドープMg_2Si合成条件を確立した。 (2).n形不純物ビスマス(Bi)をドープしたダイキャスト結晶育成法による試料で、エネルギー変換効率10%の目安となる無次元性能指数ZT=1を再現性よく実現するプロセス技術を開発した。 (3).従来は難しいとされていたp形Mg_2Siの育成について、銀(Ag)をドーパントとして導入し、特定の条件において、目標動作温度(300-500度C)全域で十分高いp形熱電特性を示す合成プロセス条件を抽出できた。 (4).モジュール化に不可欠なMg_2Siへの電極材料の作製ついて、放電プラズマ焼結法による一体成型電極をニッケル(Ni)および銅(Cu)を用いて行い、基礎的なプロセスデータと電気的特性が得られた。 これら知見は,最終年度に、モジュールの試作につながるデータである。
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