研究概要 |
本研究では,高い磁束ピンニング特性を有し高磁束源としての応用が期待されるバルク超電導体に関して,その応用上重要な技術と位置づけられるパルス着磁法の特性向上を目指して,パルス着磁過程における磁束ダイナミックス,特に超電導特性に空間的不均一がある超電導体にパルス磁界が印加されたときの磁束の二次元および三次元的な運動と誘導電流分布の変化を明らかにし,それをもとにパルス着磁法の高性能化の条件を探求することを目的としている。平成18年度は以下のような内容で研究を実施した。 1.実験および数値解析による研究 平成17年度に続き,バルク超電導体のパルス着磁過程での磁束密度分布等の変化を,印加磁界などのパラメータ依存性に着目しながら測定した。平成17年度と比較して,磁束密度分布測定に用いたサーチコイルの数を増やし,詳細な磁束運動が把握できるように改良を行った。また,超電導特性の空間的不均一性を考慮し,電磁界と温度場を連成させた三次元解析モデルと二次元数値解析ツールを作成した。各種条件下でのパルス着磁過程の二次元および三次元数値解析を実施し,超電導体内部の電磁現象と温度分布等を調べた。これらの結果から,パルス磁界が印加されたときのバルク超電導体中の磁束の動きと電流分布の変化を整理し,パルス磁界印加時のバルク超電導中の磁束ダイナミックスを検討した。さらに実験と数値解析結果に基づいて,パルス着磁特性の高性能化の可能性を検討した。 2.調査研究 本研究に国内外の最新の研究動向,研究成果を反映させるため,パルス着磁および超電導体中の電磁現象とそれらの数値解析に関する研究動向,およびバルク超電導体の強磁束源として応用可能性に関する調査を行った。
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