研究概要 |
1.Zn添加によるGaN発光領域の特性制御Zn発光中心の形成は青色発光を得るための制御法の一つであるが,酸素が発光特性に与える効果を調べるため,Zn原料としてZnOを用いて二段階気相法により試料作製を行った。キャリアガスとしてN_2またはHClを使用することにより,不純物原料の供給レートを2桁の広い範囲での制御を達成した。発光特性を,以前のZnSを原料に用いて作製した試料と比較した結果,酸素が550nm付近に発光帯を形成する可能性があることが示唆された。 2.種粒子生成条件がGaN粒子形成に与える影響1050〜1200℃の範囲においてGaN種粒子の生成を行い,その反応温度(T_1)依存性とその後の粒子成長に対する影響を調べた。その結果,T_1の上昇に従い,種粒子の結晶性は単調に向上するにもかかわらず,第2段階の粒子成長過程後の粒子の発光強度はT_1の上昇に従い大幅に減少した。これに関連し,T_1が低いほど単結晶状の粒子がより大きく成長することが観察されたことから,高い発光効率を得るためには粒子の単結晶化が重要な課題の一つであることを明らかにした。 3.GaN粒子周囲へのAlN層の被覆上記2で最適化された条件で作製したGaN粒子表面上へ,AlCl_3とNH_3を原料として用いる第3段のプロセスにより,AlN層の形成を試みた。作製したAlN被覆粒子は,GaNのバンド端発光が支配的であり,その強度は未被覆試料の約1.2倍まで増加した。またスペクトル形状から,AlNの被覆により,不純物または欠陥に起因する発光が減少する傾向もみられた。これらの特性は,AN被覆層が励起キャリアに対して,表面障壁および表面欠陥のパシベイションの効果をもつことを示唆している。一方,AlN被覆時に自発核生成が顕著であることから,この抑制が重要な課題であることも明らかになった。
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