研究課題
空間電荷分布測定は、主に固体絶縁材料中の電荷の分布を測定する技術として用いられ、電力ケーブル用やプリント基板の固体絶縁材料の信頼性評価と材料開発等に利用されている。本研究で目指している空間電荷分布測定装置の最終的目標は"絶縁材料内部の電荷の動きを顕微鏡のように見て記録する装置を開発する"ことである。平成18年度に目指している装置開発の数値目標は、"測定試料の厚さ方向(Z方向数ミリメートルの範囲)と試料の横方向(X方向数10mmメートルの範囲)の面の測定範囲ミリ秒間隔で空間電荷分布を測定できる装置を開発すること"である。具体的には、前年度の開発した2次元センサ分割型の装置を改良して短時間間隔(ミリ秒以下)で測定できるように改良することが目標であった。オシロスコープのシーケンシャルトリガモード(オシロのメモリを予め分割しておき、トリガ信号毎に分割したメモリに信号を記録する機機能)を有する多チャンネルのデジタルオシロスコープを利用してこの機能を開発する装置に付加することで実現した。この装置を応用して以下の空間電荷分布計測を行った。電力ケーブル用絶縁材料であるポリエチレンなどの絶縁材料中で起こる特異現象としてパケット電荷が報告されている。パケット電荷は3次元的に分布する可能性が高く、かつ過渡的に変化することが予測されていた。本装置を利用しその現象を計測した。その結果、パケットの大きさは横方向に数から十数ミリメートルの大きさがあることがわかった。この測定により、高分子絶縁材料の面内の空間電荷特性が均一でないことがはじめて明らかにされた。測定装置の信号処理をLabVIEWと呼ばれる測定装置制御用の言語ソフトを用いて、サブミリ秒間隔で11センサからの信号を記録処理する技術を開発した。そして、ポリエチレンに商用周波数(50Hz)を印加した場合に1周期当たり200データ(0.1ms間隔)の2次元空間電荷分布を計測可能にした。高速での測定が可能となったことから、蒸着金属電極の有無による材料表面の帯電と放電の時間変化が明らかになった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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